レトロスペクト・アメリカ


Vol. 26 卒業旅行 其の二、南国のフロリダ」 の巻


さて、結構エキサイティング(と言うより災難??)なD.C.への旅行を終えてピッツバーグへ帰って来た数日後、私と母は飛行機に乗り込みフロリダ州はマイアミへと向かいます。このフロリダ行きは私の「南の島でノンビリしたぁ〜いっ!」と言う強い要望から実現したものです。私はフロリダへはミードビルの家族と共に高校生の時に行った事があります。その時はジャクソンビルの近くのセント・オーガスチンと言うビーチとディズニーワールドでしたが、今回はマイアミとキー・ウェスト。マイアミからはレンタカーを借りて、国道1号線をただひたすら南下するのです。

ピッツバーグを発ったのは午後ですから、時差の無いマイアミに着くのは勿論暗くなってから。そんな訳で、さすがに「マイアミは怖い」と聞いていた私はマイアミのホテルだけは予約してあります。しかぁ〜し...それでも安いデイズ・インを予約したら結構危ない地域にあったらしく、レンタカーの貸出カウンターの黒人のオバチャンに「迷っても道はガソリンスタンドでしか聞いちゃ駄目よ!!」と念を押された私達母娘、とか道にも迷わずにホテルへ辿り着き、その夜をやり過ごしたのでした。

翌朝、私達はマイアミ市のすぐ隣にあるマイアミ・ビーチへと向かいます。ここはアール・デコの建築物が有名な場所で、それこそピンクや水色のパステル・カラーから、幾何学的な模様にモノトーン等々、見て楽しい町並みです。そこから30分程南下すると大きな家が建ち並ぶ地域に入ります。ここはまだマイアミ市内なのですが、家の塀の周りに植えられている木々の醸し出す雰囲気はまるでジャングルの様です。目的地はヴィツカヤと呼ばれる、昔の大金持の邸宅です。ここは土地の半分程は隣家に売ってしまったそうなのですが、それでもバカデカイ豪邸なのです。駐車場に車を停めて入場料を支払って中に入るとそこはもう別世界。とても良く整備された庭園、本当の中庭がある大理石の大豪邸、海辺にはお茶を飲む為の部屋や船着き場もあり、寝室やリビング等は当時のままに保存されています。「こんな家に住めたら良いだろうなぁ。」と誰もが思うありふれた事を考えながら私達はヴィツカヤを後にしました。余談ですが、このヴィツカヤの周辺にシルベスター・スタローンの邸宅があるそうです。

さて、本土での観光も終え、我々は海に出ます。と言っても車でですよ、勿論。キー・ウェストはフロリダ・キーズと呼ばれるマイアミから伸びた島々の一番南の島で、そこまでは国道1号線が海の上も橋を渡してつながっています。マイアミからの所用時間は約3時間程。一番マイアミに近いキーラーゴに入ると今迄片側2車線づつだった道路が1車線づつに狭くなります。キー・ラーゴを抜けると島は小さくなり、車を飛ばしていても両側に海が見えるようになるのです。さすがに珊瑚礁、海はあくまでも青く、砂はあくまでも白く。綺麗な事この上ありません。この日我々はフロリダ・キーズのど真ん中、マラソン・キーでモーテルを探して泊ります。モーテルと言うのは日本で言うラブホテルでは無く、車で行く素泊まりのホテルの事。ここのオーナー夫婦はトッテモ気の良さそうなジイチャン・バアチャンで、我々はここに2泊したのでした。

マラソン・キーからキー・ウェストに向かうとそこにはかの有名な『セブン・マイル・ブリッジ』があります。その名の通り全長7マイル(約11.5キロ)ある橋です(シュワルツェネッガーの『トゥルー・ライズ』にも出てたよね)。これを越えて後一つ島を越えるとキー・ウェストとなります。マラソン・キーとキー・ウェストの間にある島にはキー・ディアと言うそこにしかいない鹿が繁殖しています。

キー・ウェストへ行く人は陸路、海路、空路と3つの手段を使う事が出来ます。空港はかなり大きくて、大抵の人は飛行機で行く様です。クルーズ・シップなども発着するし、トローリングやダイビングの為の船も多いので、港もとても発達しています。キー・ウェストはフロリダ・キーズの島々の中では大きな方ですが、歩いて横断する事も可能な大きさなので、車で行かなくても十分なのです。我々のキー・ウェスト1日目はマラソンからの日帰り、2日目はそこに泊る事になりました。

キー・ウェストと言えば...やはりヘミングウェイでしょう。彼の家は博物館になっているので中へ入って色々な記念の品々を見学する事も出来ますし、彼の通い詰めたバーは今も健在で営業しています。勿論お土産コーナーもありますけどね。ヘミングウェイの家には昔船乗り達が大切にした前足の指の一本多い猫が沢山います。プールもあって素ン晴らしいお宅ですよ。

そしてキー・ウェストと言えばアメリカ最南端の街。街の外れには『サザン・モースト・ポイント』と言う記念碑があり、そこには「キューバまで90マイル(約145キロ)」と言う看板がかかっていますが、実は本当の最南端は海軍基地の中。キー・ウェストの約4分の1程は海軍の土地になっているのです。 さらにキー・ウェストと言えば国道1号線の終点です。でも、この看板、トッテモ見付け難い所にあるので、行く機会のある人は頑張って見付けて下さいね。

ここフロリダ・キーズにはお金を出せば楽しめる事は山の用にあるのですが、貧乏旅行ではそうは言ってられません。楽しみを限定しなければ。我々の『限定お楽しみ』はスノーケリングでした。船に乗って全部で4時間の旅で25ドルなら安いエンターテイメントじゃぁあ〜りませんか。「やった事あるよ」と言う母に騙された私。彼女は泳ぎがそう得意ではないので、「やった事ある」も足がつく所でだったのね(笑)。とにかく、青い海の中を覗いて青や黄色の魚を見るのは初めてだった私はこのチープ・エンターテイメントをたっぷり楽しんで、3月と言う寒い季節にありながら日焼けもたっぷりして、短いバケーションを堪能して雪の降りしきるピッツバーグへ戻って行ったのでした。



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