レトロスペクト・アメリカ


Vol. 20 キャンプへ行こう」 の巻


アメリカで暮す間、キャンプには本当に何度も行きました。一言にキャンプと言っても色々あります。シャワーや洗濯機までシッカリ揃っているキャンプ場から、誰の土地か分からない何の設備も無い場所でのキャンプ、その他バックパックを背負って何日もかけてトレイルを行くトレイル・キャンプまで。今でこそ登山に目覚めてしまった私ですが、その頃はまだ、今と比べれば都会ッ子だったので、大抵のキャンプには車で行きましたが、大体は何の設備も無い「誰かの土地」でキャンプをしていました。

私達は学校の友達と連れ立ってキャンプに行く事が多く、そのメンバーの多くはAIPに一緒に通った友達や、そのまた友達と言った人々でした。キャンプの日程を皆で調整すると、皆それぞれに食料や水、ビール等を買い込み、準備を始めます。

始めの頃は結構な人数で出掛けたものです。その頃はアレゲニー国立森林公園にある、トイレだけはあるキャンプ場に大人数で出掛けておりました。ある時などは15人程の大所帯。それぞれが2〜3人寝られるテントを持って出掛けるのですが、その時は区切られたキャンプ・サイト1つでは無理と言う事で、グループ用サイトに設営。キャンプファイヤー用の薪を売っているキャンプ場も多いのですが、そんなものはハッキリ言って必要ありません。森の中に入っていけば薪に出来るような落木なんていくらでもあるんですから。

皆で木を集めて火を起こしたら食事です。皆それぞれに買い込んだホットドッグを、木の枝の先をナイフで削った即席の串にさして炙り、好きなものをトッピングして食べたり、フライパンや鍋を持っていけばそれこそカレーやチキン・ウィングス、オムレツ、オムライスなども作れちゃいます。多少灰が入っても気にしてはいけません。飲み物も人それぞれ。ジュースに水に、ビールにハード・リカー。とにかく何でもあり。友達同士で楽しみに行くのだから、ルールも何も無いので、食事が終われば自分の後片付けをして、今度は遊びにかかります。

写真学校に通う人々だけあって、写真撮影に行く者、学校で借りて来たビデオで遊ぶ皆を撮影する者と色々ですが、やっぱり休みの時はカメラ無しで遊ぶ人が多いでしょう?! 意味も無く立ち枯れた木を頑張って倒してみる者や、丁度隣のキャンプ・サイトにキャンプしに来ていたボーイスカウトの子供たちと『どんぐり合戦』を始める者。どうして大学生が小学生相手に頑張って『どんぐり合戦』するかねぇ?(笑) フリスビーに『隠れんぼ』。と、とにかく訳も分からないまま夜は更けて、その間も休みなく燃え続けていたキャンプ・ファイヤーを囲みながら遊び盛りの大学生は明け方まで持って来たお酒を飲み続けるのでした。

こういう人数がイッパイでキャンプに来た時なんかにカップルが出来ちゃうのよ。ふふふ。私はその時は既にボーイフレンドの居た身ですから、そんな事はなかったけど、何かに解き放たれた様な戸外で酒が入るとそうなっちゃうんでしょうかねぇ? ま、酒だけでは無かったような気もしますが...

もう一つのキャンプ場は、キャンプ場とは呼んでいけない場所です。なぜならそれは他人の土地ですから。大体そこに辿り着くのには、見落としそうな道に鋭角にUターンをして入り、車のお腹をガリガリと擦りながら「オォッハマッてしまうっ!!」などと危険に直面しながら行かなくてはならないのです。そこにはシャワーは勿論、水道もトイレもありません。私達はシャベルとロープ、そして要らないシーツを持参して穴を掘り、トイレを作ったものでした。ここは前回書いたラフティングをする場所の近くで、キャンプ・サイトの真横に幅20m位の河が流れています。要するに「シャワーはそこで浴びろ」と言う訳です。キャンプサイトを少し下流に下りると吊り橋を渡した少し深くなった所があり、そこでは皆が橋から飛び込んで遊んでいます。私は初めてそこにいった時、皆が頭から飛び込んでいるので「当然そうするものでしょう」と思い頭から飛び込んだのですが、後で「初めてで頭から行く奴いないよ」と言われた単純な人です。昼間は勿論持って来たタイヤチューブに乗って遊んだり飛び込みをしたり、川岸の大きな岩で日光浴をしたりと皆好き勝手やっています。少し上流へ岸に伝って歩いて行くと、更に上流へ入って行く場所があり、それを2時間ほどかけて歩いて行った事もありました。その時、私は前を行く人がある岩に足をかけてスリップしているのをみて「あ、気を付けなきゃ」と思ったのですが、何を思ったか同じ場所を踏んでスッテンコロリン!! 後方へ倒れ頭を打ちました。しかし大した事はなかった私は、自分の余りの間抜けさにウケてしまい、ケラケラ笑い出したからさぁ大変。その時皆は私が頭を打ってオカシクなったと思ったらしい(笑)

小人数で行っても夜のキャンプファイヤーとお酒を飲みながらの暴露大会は欠かせません。皆で一通り話やゲームをして騒いだ後、酒の回った私達はイイ気分になって誰からとも無く素っ裸になって河に飛び込み始めます。クレイジーの一言ですが、それを率先してやっていた私は一言もありませんです。ハイ(笑) 男の子も女の子もみんな仲良しだし、月明かりだけなので平気だったんでしょうね(と言うよりも、酔っ払っていて余り気にしていなかっただけの気がする...)。しかし「月明かりでは見えない」と言いつつも、懐中電灯やキャンプファイヤーに照らされて、結局は皆丸見えだったのだ!?

そんなクレイジーなキャンプを幾度と無く繰り返して来た私はすっかりヤマ女になってしまいました。ほんと、置かれる環境によって人って変わるものなのね。 (なんか、自分の素質を棚に上げているような気がする....)



貧乏学生ノ遊ビ、其の二レトロスペクト・アメリカ トップ車と免許の話