日本の大学生ってトッテモお金持ちだけど、アメリカの大学生は(少なくとも私の周りに居た人々は)結構な貧乏人である。実家がお金持ちでお金持ちの学校に行っているならともかく、普通の州立大学や専門学校に行っている人は大抵、贅沢な暮しはしていません。アメリカで大学へ行く人は、親に学費を出してもらう事は極めて稀で、大抵の人は何らかの奨学金をもらうか、又は銀行の学資ローンを借りて大学に進学しています。奨学金は返さなくても良いのですが、学資ローンは卒業後何年もかかって返していかなければならないので、学校の成績を上げ、就職口を探すのにも必死です。そんな訳で、私の周りのアメリカ人大学生・専門学校生はみ〜んな貧乏学生で、それ相応の遊びを知っていました。
しかし、この「貧乏学生の遊び」が可能となる背景には、社会の協力と言うものもあるんですねぇ。私はアメリカ滞在中の殆どをペンシルベニア州はピッツバーグで過ごしましたが、この街の良い所は、公園設備が整っている事。それに学生割引きが徹底している事です。公園にあるテニスコートは夜間のライトが必要な時間でさえ無料で使用する事が出来、動物園、博物館、美術館等は学生割引きで一般料金よりもかなり安く入場出来ます。その他、これは行政は関係ありませんが、映画館、スケートリンク、ボーリング場等々の娯楽施設の利用料も日本と比べて遥かに安く、とにかく週末など、課題をこなす合間に遊ぶには事欠きませんでした。 私が良く行ったのは映画です。街中にある普通の映画館は、午後4:30迄はマティネーと言って昼間割引で半額位で観れますが、正規の夜間料金でも平均6ドル50セント程です。そして、30分程郊外に車を走らせると、ショッピング・モールの敷地内に映画館があり、その映画館は大体1〜3ヶ月位遅れて映画を仕入れるのですが、その代わり料金は何時でも3ドルで、しかも水曜日は全ての映画が1ドルで観れたのです。これはレンタルビデオをするよりも安いっっ!! と言う訳で、私は月に何本もの映画を観に行ったものです。 スポーツも比較的安い娯楽です。スキーやスノボ等はリフト代がかかるのでそれほど安くはありませんが、他のスポーツは大抵お安く楽しめます。前述のテニスは、午後になると会社員の人々が集まってきて列が出来てしまうので、早朝7時半頃か夜7時以降の涼しい時間に行くのが狙い目です。人も少ないし、脱水症状も起こし難いと言う、ダブル利点ですよね。テニスコートではローラーブレードも出来る!! ゴルフはクラブのセットを持っている人は、安いコースでバッグも自分で持ってカートも乗らなければ10ドルかけずに18ホール周れると思います。でも大抵の人はカートに乗ったりキャディーを付けちゃうのでチョットお値段が張るでしょうね。ま、私はゴルフはやりませんが。打ちっぱなしは楽しいですよ、それでも。これならクラブ1本で楽しめるのでお安いし。そしてバスケ。バスケは1人でも10人でも楽しめる素敵なスポーツです。大変疲れますが.... 冬の遊びはやっぱりソリです。ピッツバーグの冬は厳しい。でも雪が一杯降るので、楽しい事が一杯です。坂のある公園へそりやタイヤのチューブを持って遊びに行けば、3時間はゆうに楽しめます。やっぱりチューブの方が3人位乗れたりするので楽しいですけどね。雪の降ったばかりのお墓(覚えていますか? 私のアパートの裏はお墓です)に行くのも楽しいです。しかも夜中に。大体50センチ以上積もっていればこの遊びは出来るのです。その名も『天使作り』!! 誰も足を踏み入れていないお墓の雪の中をズブズブと進んで行き、開けた所に出たら何か少し高い物に乗ってそこから飛び降りるのです。それも、間違っても足から下りないように。それでは天使は作れません。この時は、顔から、又は背中から飛ぶのです。聞いてるだけだとトッテモ痛そうですが、雪が深くまだ誰にも踏みつけられていないのでフワフワなのです。そして倒れ込んだら手足を肩と股の関節を軸に上下に雪の中で動かし、そのあとそぉ〜と起き上がるのです。そうすると何と雪の上に天使の形が出来るんですねぇ。話を聞くだけだと余り面白くないけど、やりだしたら止まらない、楽しい遊びです。 そしてそして、やはり決め手はパーティーでしょう!! アメリカではどんなに小さな集まりでもパーティーです。友達の家に2・3人仲間が集まるのもパーティーだし、正装してお出掛けする結婚式もパーティーです。私達は良く学校の友達を集めてパーティーを開きました。私のアパートは大家さんの家の中にあるので騒がしいパーティーは開けませんでしたが、私の当時のボーイフレンドは借家にルームメイト3人と共に住んで居たので結構騒いでも平気だったからです。その中でも面白かったのはトガ・パーティー。トガと言うのは例の古代ギリシャの布を巻き付けるだけの服の事。学校にチラシを貼りまくって参加者を募集です。普通はビールの樽などを買い込んでパーティーを開く時は入口でお金を取るのですが、この時の条件は「トガを着ていて下着を付けていなければタダだよん!!」と言うもの。結構な人数が集まり、その3分の1程の人はトガを着ておりました。その他、新しいコメディーの番組が始まるからと言ってはパーティーを開き、仲間の誰かの誕生日毎にパーティーを開き、と、結構パーティーに明け暮れていた私達です。とにかく仲間が集まって話をしたり美味しいものを持ちよったりして、それだけでも楽しかった日々ですから。若いですよねぇ。安いビールも皆が帰った後の汚れた部屋も、全て楽しいんです。 やはりクレイジーな貧乏生活は、クレイジーに楽しまなければ。こういう生活をしていると、他の日本人の留学生と一緒に遊ぶのはお金もかかり、かなり私にとっては苦痛だったのかも知れない。馴染んでると言うのか、日本的生活を否定していると言うのか... |