お山のお話


「 {タイトル} 」 の巻


またまた、行って参りました 白馬岳。

前回は お盆の休みに 友人と出掛けたのですが、報告済の通り 大雨・大風に 見舞われまして散々な目にあいました。
今回は 丁度 連休も重なったので 「まだ行ける内に(冬が近いので)」 と、リベンジ編 を企画するに あたりました。

有志を 募ったのですが、何せ 突然 決めた アドベンチャー。
皆さん 既に 連休の予定も 入っており、ワタシ 独りで出掛けて参りました。

第 1日目: 10月 7日 (木)


前日 やっとパッキングを終えたワタシは、早朝 4時半に起床。
名古屋駅より 07:10の 『特急 ワイドビュー しなの』 に乗り込み まず松本へ。
そこから 大糸線の 普通列車に 乗り換え、白馬駅に 11:20に到着。

とりあえず コンビニへ向かい、腹ごしらえを済ませ、松本電鉄のバスに乗り 八方の ゴンドラ・リフト 乗り場へと向かいました。

今回は 荷物を 出来るだけ 減らしたつもりだったのですが、水を汲んでいない状態で ゴンドラ乗り場で 荷物の 計量をすると 結果は18kg。 水を汲んだら結局 20kgじゃん...

この日は あいにくの 曇り空で、小雨も パラパラ 降っておりましたが、大雨よりはずっとマシ。
ゴンドラ と リフト 2本を 乗り継いで 八方池小屋 に 辿り着いたのでした。 そこで水を補給して歩き出します。

天気もさして 良くなく 木曜日と言う 半端な日である事から、他に歩いている人もおらず、「こんな天気で 4日間大丈夫なのかしらん?」 と少し 愚痴りながら 3時間半歩き続けました。

途中、2羽の 雷鳥が 目の前に 飛んで来ると言う 幸運にも 見舞われつつ、唐松岳山頂小屋 に 辿り着いたワタシは、受付を済ませ 他に一つもテントも張っていない テント場にテントを張り、まだ日も高い夕方で有るにも関わらず 夕食を作って 食べた挙げ句、その 1日を 終わらせるべく 眠りに着いたのでした。

第 2日目: 10月 8日 (金)

04:30 に起床。

夜中 雨と 大風に 吹かれ、「テントごと飛ばされやしないか」 と不安を 覚えたものの、どうやら無事に 起きる事が 出来たようですが、テントの 前室を 張っていた ペグ は 見事に外れていました。

テン トの ファスナー を上げ 外を覗いてみると、そこは一面の霧。

仕方なく 朝食 を作って食べ、テント をたたんで 荷物を まとめ、出発の 準備をした ワタシ です。
シーズン も 終わりと言う事で、唐松岳山頂小屋 の 水源となっている 雪渓 は既に 涸れていたので 出発前に 水を 購入します。 『飲料水』 と 『天水』 に分かれていたのですが、別に 天水 を飲んだ所で クダル ような ワタシ の お腹ではないので 天水 を購入。1リットル 150円なり。 雨水をた 貯めただけの 水にしては 結構な お値段ですが、この 山の頂上に 貯水タンクを 設置する 苦労を思えば納得。

06:30
気を取り直して出発。 でも曇ってるよぉ...
しかも 風が 吹き飛ばされそうな位 強いので、持ってる服を 全て 着込んで出発です。

唐松岳 の 頂上までは 30分位。
さすがに この時間に 反対側から 来る人も おらず、唐松岳は独り占めでした。

頂上に着いて 暫く 霧が晴れるのを 待っていたのですが、一向に その気配も無いので 看板の前で 証拠写真 だけを 撮って出発。

少し歩くと 日も照ってきて 開けた場所に出たので、休憩 兼 スナックタイムと 言う事にしました。
ここから先が彼の有名な不帰嶮 (「かえらずのけん」と読む) なので、パワーアップを図っておかないと...

ご存知の方もありましょうが、『不帰嶮』 はこの 白馬岳 ⇔ 唐松岳 の 縦走コースで 一番の難所と言っても 良い箇所で、一峰・ニ峰・三峰があります。 その中でも二峰が曲者です。 気合いを入れて 不帰嶮 チャレンジ開始です。

しかぁ〜し、不帰嶮 に辿り着く前に 雷鳥に遭遇。 今度はファミリーです。 登山道のすぐ傍の 茂みの中で クークー言っている 彼等を見て、ワタシは 「おぉ、今回こそは雷鳥の写真を撮らなくては」 と カメラを取り出すのでした。

前回、8月に雷鳥と出会った時には カメラを出す気力が ありませんでしたから。

ワタシの場合は 普通とは 逆コースの 唐松 → 白馬 だったので、三峰 からの アプローチ です。 始めの 三峰 は 大した苦労も無く 登って 降りる事が出来ました。 そして 二峰 を 上り詰め、下りにかかります。

ここは ハシゴ や クサリ が 連続してある 場所で、白馬からのコースであれば 登りになるので 少しは マシ だったのでしょうが、私にとっては 全て 下りコース。 背中に 20kgを かつぎながら ハシゴ や クサリ に ぶら下がり、足元を探りながら (気分的には)ホボ垂直 の 壁を 降りて行くのは、正に 『重量級 ロッククライミング』 と呼んでも失礼には当らないでしょう(笑)。

ここで ワタシは自分の 『高所恐怖症』 を再確認したのでした。
『高所恐怖症』 の人がなぜ 山に登り、ロッククライミング をしたがるのか?
これは 謎 でしかありませんが、只単に 怖いもの見たさではないかと 私は思います。

とにかく、今迄 フラフラ と 歌を唄いながら歩いていたワタシも、この箇所だけは 少しだけ 命の危険を 感じ、背中の 重さと共に 吸込まれそうな岩肌を ジリジリと 降りていったのでした。

何とか 不帰嶮 の 一峰 まで クリア すると、目の前には 『天狗の大下り』 と 呼ばれる 延々と 続く 長ぁ〜い坂道 が待っています。 坂道と言っても かなり急でしかも 岩が ゴロゴロ しているので、ウネウネ と ヘビの様に 登って行きます。 

この坂道でワタシが思いついたは 「これって 『天狗の大下り』 じゃなくて、『天狗の大登り』 じゃない。。。」という、クダラナイ事でした。 確かに 白馬から 縦走すればこれは 下りだけど、唐松 からは 登りですから(笑)。 ここも 「登るだけでしょ」 と チョット馬鹿にしていたら、ここにも クサリ場 が何ヶ所かあって、今度は 本当に 重量級クライミング をする羽目に。 登るのはね、苦じゃないんですけど、少し バランス を 崩すと 後ろに落ちて行きそうなので 這いつくばる様にして登って行きます。

ここを登り詰め 後ろを振り返ると、今迄 歩いて来た 唐松岳、不帰嶮 が 一望出来、「ふぅ〜ん、こんなに登ってきたんだぁ」 と少し感動するのです。 それからは ほぼ 平坦な 天狗平 を歩き続け、この日の キャンプ地 である 天狗山荘に到着。

ここまでの所用時間は合計約 7時間。
コースタイム よりは かなりの 遅れをとっていますが、何せ ノンビリ単独行、時間なんかは 気にしていません。
とりあえず 日の高い内に キャンプ地 に辿り着いたので、ゆっくり焦らずテントを張って 御飯を作り、薄暗くなる頃には早くも寝てしまう ワタシ なのでした。

天狗山荘 は 9月26日 をもって 閉鎖してしまっていたので、ワタシ を含めて 天狗の 人口は何と 2人。なんとも素晴らしい...
とにかく 一日中 風の強い日で、吹き飛ばされそうな 恐怖 の中で 重たい 荷物を 「有り難い」 と 思った 不思議な日でした。

第 3日目: 10月 9日 (土)

本当は朝 04:30 に起きる筈だった...でも起きたら 05:30 だった。
辺りが 眩しいので 慌てて 外に出ると、日の出の 真っ最中 でした(笑)。

慌てて 寝袋 と テント から飛び出すと、目の前は 辺り 一面の 雲海 と 光の束!!
急いで 何枚か 写真を撮り、三脚を立てて 自分も 「青空だったよ」 と言う証拠の為に 写真に収まります。

ここで 水 の 問題 が 発生。 天狗では 雪渓は残っていたのですが、余りの寒さに 水は 凍り付いて流れておらず、池(水溜り)には 薄氷、地面には霜柱。 それでも 水無しでは 歩けないので、溜まった 池の水を 汲む事に。 都会の ドブ水 じゃ無いんだから、お腹は 壊さないでしょう。

それから 食事をして テントをたたみ、この日の 目的地、白馬岳 に向かって 出発進行!!

始めの 30分程は 前日の 最後と同じく 平坦な道を行きます。 目の前に見える 『グレーのセメント工場の山』 の様な山が どの山なのかは定かではなく、その山の 麓の 鑓温泉への 分岐点へ辿り着いて ようやく それが鑓ヶ岳(やりがたけ)である事が 発覚(笑)。 地図を持っているのだから、「ちゃんと読め」 と言う感じですが...

この山も 天狗の大下り の 様に 岩ゴロゴロ の道を ウネウネと登ります。 頂上へ辿り着くと そこには まだ誰もおらず、鑓ヶ岳単独制覇 を果たしたワタシは ニコニコです。 鑓ヶ岳 を降りる道は かなり険しく、「ここを登る人は大変だよなぁ」 と思いながら 杓子岳(しゃくしだけ) の麓に 辿り着きます。

この山は、鑓ヶ岳・白馬岳 と 共に 白馬三山 の内の一つですが、縦走コースでは 登らなくても 麓を 這う道が ついているので 登る人が そう多くはありません。 私は何せ ノンビリコース な為、ついでに登ってしまう事に決定。

麓の道を 途中まで歩くと、道なのか 何なのか 分からないような ゴロゴロ道が 出てきます。 それを登る事 20分程で 山頂に着くのです。 ここも 勿論 山頂には 誰もおらず、一日に 2つ、3日で 3つの山を 独占制覇する事が出来たワタシは、ニコニコを通り越して ウキウキになっていたのでした。  ちなみに 鑓ヶ岳も 杓子岳も、2800m の 後半の 高さがあります。  

杓子岳 を 降りたワタシは一路 白馬岳山頂宿舎 へと 向かいます。

この 村営の山頂宿舎と その更に 上にある 白馬山荘は 実は 天狗の キャンプ地 を出て 鑓温泉への 分岐点へ 着いた頃から 遠くに見えていたのですが、見える割にはいつまで経っても 近付かない。 これが晴れてる日の 山登りの 欠点 ですね。 見えていても 辿り着けないのは かなり ツライ ものがあります。 霧の中の 山行は トッテモ退屈 ですが、不意に 目的地に 辿り着いたりするので、それは それで 嬉しいモノです。

とにかく、杓子岳 を降りて 1時間と少し、ワタシは 目的地であった 山頂宿舎の キャンプ地 に辿り着きました。 今迄で一番短時間の11:30の到着です。 荷物を降ろして テントを張る場所を 確保したワタシは、青空の 白馬岳山頂 を 写真に収めるべく、身軽になって 山頂を目指しました。

とにかく 前回 登った時は ずっと 霧の中で、周りが どのようになっているのか 全く分からなかったので、一度来た事が あるにもかかわらず、「ふぅ〜ん、ふぅ〜ん」 と感心しながら 頂上の2933m迄 登り詰め、見事に 『青空 証拠写真』 もゲットして 「もう 思い残す事は 無いよ」 とキャンプ地まで 下山したのでした。

下山して テントを張っていたワタシが感じたフラフラ。
「何かしらん?」 と よくよく考えてみると、あまりにも 天気が良く 単独で山頂に立つ事で 興奮していたせいか、お昼御飯を食べるのを 忘れてたんですねぇ(笑)。 ハラヘリヘリハラ どころではなく、前の日に 作っておいた レトルト の 山菜おこわ と 5分で作った お味噌汁を大変美味しく頂いたのでした。

それから 昼寝 をする事 2時間弱、皆さんが 夕日 を 見に行く音に 気が付き、ワタシも 写真を撮りに 行く事に 決定。

写真を撮るのは いつも 朝日よりも 夕日の方が好きです。
太陽が 完全に落ち切った後の、空が 赤く 赤く 燃え上がるのをみると涙が出てきますね。

太陽も沈み 真っ暗になった夜。
この日は 連休中の 土曜日で、オマケに キャンプ地が 一番人気の白馬岳とあって、登山者の数も 大変多く、キャンプ地は テントで埋め尽くされ、その前夜の 孤独な 静寂さとは 正反対に、騒がしい夜 となったのでした。

寒いので 「外で星を見よう」 などと言う考えは 全く浮かばず、テントから 寝袋に入ったまま 頭を突き出して(ぐぅたら過ぎ。。。)、プラネタリウム なんか目じゃない 星空を 1分間ほど 拝んだ ワタシ は 再び 眠りに落ちたのでした。

第 4日目: 10月 10日 (日)

再び 04:00起床。
さすがに早く寝ただけあります。

早々に 食事を作り、5時前には テントをたたみ始め、5:30には 下山を 開始しました。

この日は 大雪渓・猿倉経由で 名古屋に 帰る日です。

皆さん やはり、山頂に登るなど 日の出を 頑張って見ていました。 前日に 素晴らしい 日の出を 見て 満足してしまったワタシは、余り 気にも 留めずに 山を降りて行くのですが、途中の お花畑などでは やはり 光が バター色 になっており、足を止めて しばし見とれました。

暫く 山道と ガレ道を行くと 雪渓に 差し掛かるのですが、やはり シーズン も終わり 雪渓も 脆くなっているので、その上は殆ど歩けず、すぐ横にある土手を 延々と歩いて行くのですが、これが雪渓を歩くよりさらに危険! なにせ かなりの 角度の 土手を這うようにして 歩かせるので、それこそ 一歩間違えば転落です。 最後の最後で こんな 危険な目に遭うとは思いませんでした(笑)。

白馬尻小屋で 一休みをし、猿倉まで合計 4時間 15分。
とりあえず 無事 下山した事を喜び、バスに乗って 八方の 『一郷の湯』 へ直行です。

4日間着の身着のままでしたからね。
一風呂浴びて 綺麗になった所で 白馬駅に戻り、昼頃、駅前のラーメン屋さんでお腹がはちきれる程の食事をしたワタシ。

ノンビリと 「普通列車の旅」 で名古屋まで 辿り着いたのでした。

大変長くなってしまいましたが、これを持ちまして 今回のワタシの 『唐松岳〜白馬岳単独行レポート』 終了とさせて頂きます。

独りも良いですよ。ノンビリゆったり鼻歌うたいぃ〜の...
自分探しの旅にはもってこいです。一ついかがですか?!

     
↑天狗の大下りをバックに            ↑一面の雲海                ↑今までの道程          ↑青空登頂!!



沼に辿り着くまでが長いわお山のお話 トップ飛び込みたくなる、キレイな水