POOH の お話


                  

君はハンター? 」 の巻


オハイオの、19世紀に建てられた 古ぅ〜い家の一角にある アパートで、ワタシと 2人で暮らす事になった POOH

この家は、メインの建物の 隅っこに作られた 「召使用の部屋」 だった為、間取りが 不思議なアパートである。 でも、主寝室が 車が 2台入るガレージの上に あったりして、広さは 申し分無し。 普通の家に住んでいた POOH にしても、走り回る 場所は いくらでも有るのだ。

さて、この家に 引っ越して来て、ワタシにとっての 最初の問題は 何と ネズミ であった。
戸棚に 乾物や お米なんかを しまって置いたら、翌日には 袋に穴が開いて 大変な事になっているのである。

仕方が無いので、最初のうちは キャンプ用の クーラー・ボックスに ネズミにやられそうな食品は 全て入れていたのだけど、なんとも不便。

そこへやって来たのが 『期待のホープ』 POOH である!

前の飼主から 「この子は ボールは追いかけるわ、コウモリは 捕まえてくるわで、元気よー!」 と 聞いていたので 「これは ネズミ・ハンター に もってこいだっ」 と かなり 期待していた ワタシ。

しかし、である。
POOH が やって来て 一週間経っても 「ネズミ状況」 は一向に 何の変化も 無いのである。

「役立たずー!」 と内心 POOH を罵りつつも、仕方が無いので ネズミの 毒エサ を購入してきた。
更に、これを POOH に 食べられては 困るので、キッチンの シンクの下に POOH の 手の届かないところに セット。

ネズミ状況は これで何とか解決したが、ネズミを捕らない ネコなんて、ホント 「役立たずー!!」


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


この オハイオの アパートのお庭は、かなり キチンと 手入れがされていて 木も鬱蒼と茂っている。
そのウチの 一本が、ワタシの アパートの 入口近くに 生えており、そこには リス・ファミリー が住んでいた。

このリス、姿は見せないのだが 縄張り意識は強いらしく ワタシが 側を通るたびに 「ケッケッケッケッッ!」 と威嚇する。

更に、屋根が広いのを 良い事に、毎朝 屋根の上で大運動会を 繰り広げてくれるのである。

この音に 興味を示したのが POOH
姿は見えないのに、音は聞こえる。

音だけを頼りに、見えない リスを追いかけ POOH が走る、走る!
部屋の中の ベッドや ソファーや 机やら、全てを 蹴飛ばし 全てにぶつかり 追いかける、追いかける!

そんな、リスの幻を 追いかけるよりも、ネズミ捕ってぇ〜!


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


オハイオでは 外に出さなかった POOH も、日本では ワタシが 網戸の無い家に 住んでいた為、毎日 外にお出かけ。

公園や道端で、犬に追いかけられ、近所のネコを追いかけ、更に小鳥を 捕まえて家に連れて帰ってくる。

普通、ネコは飼主に 「贈り物」 として獲物を 捕まえると 家に持って帰ってくる。
ワタシが 以前 日本で飼っていたネコも、我々一家が 田園風景の中に 住んでいた為か、田ネズミやら ヘビやら トカゲやら、色々 捕まえて来ては、キッチンの 床に放置してあった。 死体の始末係は 勿論 ワタシなのだけど、ネコに 「エライねーっ」 と言って 頭を撫でてやると、かなり 満足気であった。

しかし、 POOH の場合は 違うらしい。
彼が 獲物を 家に連れて帰ってくる理由は ただ一つ。

「獲物に 逃げられない場所で、いたぶって 遊ぶ為。」

確かに 賢いんだけど、死んじゃったら 放りっぱなしなのよねー。
動いて遊んでいる時は 興味津々なのに。

POOH が 何か捕まえてくる度に、帰宅後の ワタシは母に捕まる。
「その、お風呂の イスの下に、鳥が 死んでるから、始末しなさいよー。 POOHが捕まえてきたんだから。。。」

娯楽で ハンティングをするのは、人間だけだと 思ってたよー。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


TJ と ワタシ が 住んでいた アパートでは、POOH は 脱走時 以外は 全く外へ出なかった。
前回も 書いたけど、病気の 野良猫が徘徊していたから。

日本の集合住宅での 問題は、ゴキブリー!

ワタシが 以前飼っていた ネコ達は、ゴキブリにも 旺盛な 好奇心を示し、キッチンで 捕獲した半殺しのゴキブリを 2階に有った ワタシの部屋の前の 廊下まで 「ほら、見て見てーっ!」 と見せびらかしに来た。

POOH は違うようである。
ゴキブリなんて、気配を感じても 無視。

「カサカサッ」って音がしても、完全 無視。
さらに、近くに寄ってきたら、逃げたっっ

「いくじなしー!」

結局、日本での ゴキブリ退治は 『ゴキジェット』 を携えた ワタシか TJであった。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *


イギリスへ引っ越してきた今、POOH は毎日 外にお出かけする。

TJ ママが 鳥が好きなので、庭に毎朝 パン屑なんかを 撒くんだけど、それを食べに行く POOH。。。

「お前の エサは べつじゃーっ!」

このエサが 災難を 巻き起こす事も有る。

春先の、まだヒナが成長しきっていない頃、POOHは 何度も 鳥を捕まえて 帰ってきた。

普通のネコと違って、外で虐めずに 家の中に連れてくる。
しかも、決まって ダイニングルームである。

たしかに、前肢の ツメが無いのは ハンディだけど、いちいち連れてこないでー。

家の中に居て 「ピィ〜〜!!」 っと スゴイ鳴き声がすると、それは 大抵 POOH に捕まえられた 小鳥達。 大抵は 殺さずに 連れて帰ってくるので、ワタシ達の 反応さえ早ければ 鳥は助かるのだけど、毎回そうとは限らない。 2羽位は 死んじゃったかな。 POOH のせいで。 まぁ、本能だから 仕方が無いと言えばそうだけど。

今日も POOH は気合を入れて外へ出て行く。
最近では ドアの前に座って 「ドア開けてよぉ〜!」 と 鳴いてお願いする 「ワザ」 すら覚えた。

外へ出ると、まずするのが 「鳥のえさチェック」。 そして、花壇の壁の前に 延々と座り続ける。 この壁は POOH の倍ほどの 背丈なのだけど 「上段に居る鳥には 自分の存在が 知られていない」 と信じているらしく、我慢強く ズゥ〜っと ずっと、座り続けている。

15分程 そこで オシリを 冷やした後、ドアを開けてあげると 「やっとかよぉ〜」 って顔をして ドアに向かって 走ってくる。


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最近の POOH の お気に入りは、サイコロ。

TJ ママが どこかから 見つけてきた サイコロを、階段の上に 投げてやると、その後 延々1人で遊んでいる。

そう言えば、日本に居た時は 輪ゴムで 延々と 遊んでたなぁ。

君は、本当にハンターなのか??

とりあえず 「地を這う 動物」 には 興味が 無いらしい。
鳥や コウモリは 捕まえるものね。


2003年 12月  3日


POOHとワタシの出逢いPOOHのお話 TOP食いしん坊万歳!