お山のお話


「 {タイトル} 」 の巻



1999年 7月。

ワタシと母は、彼女の軽自動車に乗り込み 北アルプスへ向かっていました。
目的地は 白馬村。 そう、1998年 冬季 オリンピック の開催地です。

同じ年の6月、母は以前勤めていた職場の同窓会に参加。 そのメンバーの1人が白馬村に家を持っていて、全員が そこに泊めて貰ったのだそうです。

更に彼らは、白馬在住のメンバーに連れられて 八方池 なる 『白馬三山』 が映る 山の上に有る池へ行き、素晴らしい景色と高山植物を堪能したそうで 「これは Piggy にも見せなくては」 と、週末にどこに行くでもない暇な ワタシ をここへ連れてきたのでした。

まずは 黒菱平という スキーリフトが有る場所まで車でブィーっと行きました。 ここからリフトを2本乗り継ぐのですが、我々は下の1本だけ乗って、上の頂上リフトには乗らずにお花畑を歩いて登る事に。 頂上リフトの終点にはスキー客や登山客用のロッジが有ります。 そこから大体1時間程 歩くと 八方池に辿り着きます。

その日の白馬は曇り空。 『水面に映る白馬三山 』 など拝む事も出来ず、とりあえずその辺りに有る高山植物を眺め、オリンピックのスラロームのスタート地点を見学し、そのまま早足で 黒菱平まで、リフトにも乗らずに駆け下りた2人。 途中、登山者のオッサンに 「ゆっくり行きなよぉ、ヒザ痛めるよぉ。」 と言われたのにも耳を貸さず。。。

車に辿り着き、2人は一路 猿倉へ。
ここは大雪渓で有名な白馬岳への表玄関です。 無料駐車場とロッジも有って、そこから約1時間半で 白馬尻山荘に到着します。 その先が かの有名な 『白馬大雪渓』。 

一応ハイキングなどはアメリカに居た頃から好きで ハイキング・ブーツ も持っていたけど 「山に登るのよ」 なんて言わなかったじゃないか、母よ。。。  いつもの 「お出かけモード」で 通学用リュック に ペットボトル と オニギリ と カメラ を入れて、ブーツを車に積み込んで 「しゅっぱぁ〜つっ!」って出てきちゃったじゃない。 山に登るなら 一応 雨具とかそれなりの準備をして来たのになぁ。

でも 「雪渓は見ておかないとね」 と、雪渓の終点まで行って見た。 そうしたら、もう少し欲が出て 「ちょっと雪渓の上に乗ってみたいよね」 って事で、横から少し歩いて乗ってみた。 記念撮影をする我々母娘の横を、全身 ゴアテックス に雨具に身を包んだ 登山者の オッサン が 「上まですぐだから、行って見れば良いじゃん」 などとホザキながら歩いていく。 確かに 登ってしまいたい欲望に グイグイ押されていたのだけど、さすがに冷静になって自分の服装を考え直したら。。。

* Tシャツ、長袖シャツ、短パン、靴下、すべてコットン。
* ブーツは履いてるけど、アイゼン なんて持ってない。
* 食料は オニギリ 2個と、500ml の ペットボトル が一本。
* カメラが濡れないようにする ビニール袋すら持っていない。

こんなダメダメ装備では、 さすがに無謀なワタシでも 「ダメだ、今回は」 とアキラメを付け下山する事に。

更に 下山途中、八方池から降りてくる時に声を掛けられたオッサンのヒトコトが現実に。。。
ヒザが痛いのよぉ。 まさか25歳にしてヒザが痛くなったりするなんて思いもしなかったわ。 きっと階段になっている散策路を駆け下りたのがイケナイんだ。

さらに悪運は追い討ちをかけ、曇り空だったのが土砂降りへ。 母娘は出来る限り早く下山し、周辺の立ち寄り温泉に駆け込んだのでした。

湯に浸かりながらワタシが考えていたのは。。。 「絶対登ってやる、この山!!」

白馬から名古屋へ戻った私は、痛いヒザを引きずりながら通勤し、貯金は全て 巨大な バックパック やら防水の雨具やら、調理用の キャンプストーブ やらの登山道具へと変身して行きました。

それにしても、意地で登山を開始する人って この世にどの位居るんだろう? 普通はもっと素敵な理由で始めるんではないだろうか?

         白馬大雪渓初訪問 ←この短パンに通学用リュックじゃ無理だろぉ。。。



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